2018年5月22日 葛の旅で福井県の伊勢屋さんを訪ねました。

【葛ソムリエが、葛を旅する。】

葛ディスカバリー

2018年5月22日 葛の旅で福井県の伊勢屋さんを訪ねました。

20180522葛まんじゅう のぼり

福井県の小浜は昔から湧水が豊富です。
道路のわきには水路が走り、各家庭や店舗には水場が設けられていました。
お米を研いだり、スイカを冷やしたりとこの水は日常生活に必要不可欠。
夏になるとどの家庭でも葛まんじゅうを作り、水場で冷やしていたそうです。

20180522葛まんじゅう

昔は15件ほどの和菓子屋が軒を連ね、
どの店でも葛まんじゅうを売っており、
葛まんじゅうを水場に並べてある風景は小浜の夏の風物詩ともいえます。

しかし、昭和30年代以降、水場の使い方について保健所の指導が入るなど
時代の流れで徐々に水場を活用する習慣がなくなってゆき、
今では水場で葛まんじゅうを販売するスタイルは伊勢屋さん1件になってしまったそうです。

今日は5代目の上田藤夫さんにお話を伺いました。

20180522伊勢屋 社長

もともとこの辺りは若狭葛が有名で、おいしい和菓子が作られていました。
葛根堀りは男の仕事、草鞋編みは女の仕事。

しかし、今では農家の人もサラリーマンになってしまい、
農閑期に山に入って葛を掘る人はいなくなりました。

今では若狭葛の生産はほとんどなく、
伊勢屋さんでは吉野葛、秋月葛を足して和菓子を作っているとのこと。

20180522葛 見本

伊勢屋での葛まんじゅう作りは2代目のときから始まりました。

葛は本返しといって完全に透明になるまで糊化させ、
盃に葛とこしあんを入れたら、水場に浮かべて冷やします。

昔は清水焼の様々な形の盃を使っていたそうですが、
今はパックに入れてお持ち帰りいただいても形が壊れにくいようにと
専用の丸い方が使われるようになっています。

20180522葛まんじゅう 作業

わらび餅を冷やしすぎたら真っ白になって固くなってしまうように、
葛まんじゅうも冷やしすぎると風味を損ないます。
それなのに、水場につけっぱなしで大丈夫!?と思いますが、
この湧水は年間を通して14~15度に保たれているため
葛が固くなりすぎず、瑞々しくてとろんとした食感を保つことができるそう。

まさにここでしか味わえないものです。

20180522葛まんじゅう 水

この湧水、『雲城水』というのですが、日本の名水100選にも選ばれている水。
海がすぐ近くにあるにもかかわらず、粘土層からわき出てくるのは真水。
しかも雑菌がいないのでなかなか腐らないというとても貴重な水なのだそうです。

伊勢屋の名物は夏の『葛まんじゅう』と冬の『丁稚羊羹』。

どちらもシンプルですが、「シンプルな和菓子ほど難しい」と上田さんは語ります。

では、伊勢屋の和菓子がなぜおいしいか。

それはやはりこの湧水、『雲城水』が理由だそうです。

湧水は素材の良さを引き出してくれる。
餡の風味。葛の風味。
口あたりがよくてまろやかな湧水だからこそ作れるお菓子。

「葛まんじゅうは切らずにひと口で食べて」と上田さん。
つるりと喉ごしが良く、何個でも食べられると笑顔で教えてくれました。

20180522社長対談

今は6代目の浩人さんに受け継がれ、季節に合わせた新商品も出ています。
水の流れる音を聞いているだけでもすーっと汗がひき、涼を感じることができます。

ぜひ、福井県小浜市、伊勢屋さんまで足を運んでみてください。

20180522伊勢屋 店内


「家業でしているのは定年がなくていい。
土日もなく仕事をさせてもらえるし、
60を過ぎたから急にもういらないと言われることもない。
それほど量は作れないけど、
葛まんじゅうを作るのは今も私の仕事なんです。
死ぬまで仕事ができるなんて、本当に有難いことです。」

藤夫さんがつぶやいた言葉が印象に残りました。


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