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2017年9月15日(土)『葛からクズへ』シンポジウム参加

2017年9月15日(土)に愛知県で行われた『葛からクズへ』というテーマのシンポジウムに参加させていただきました。

20170105葛シンポジウム

私たちは今までクズという植物を磨き上げることで『吉野本葛』というすばらしい伝統食品を作り上げているという自負がありました。

葛という植物は秋の七草の一つで、古来より花の美しさを愛でられ、日本人には親しみ深い花の一つ。そんなイメージもありました。

しかし、初めてこのお話を聞いたとき、『強害草』という表現に驚きました。

よくよく考えると、電柱に巻き登ったり、電車の両側や高速道路の壁にも葛ははびこっていますし、クズを見かけない町などないというのは思い浮かびます。

しかし、『強害草』とまで言われると…。

そんな思いをもちながら参加させていただきました。


クズは昔、里山にあったものでした。

縄文時代が終わって弥生時代に入り、稲作文化が興った時、肥沃ではない日本の土地では「肥料」を使う必要がありました。

だから里山には田畑の他に肥料生産の為の「茅山」「柴山」「葛山」などを持っていました。

里山の景観は草地一色だったことでしょう。

そんな中でクズは葛粉の生産、葛布の生産、飼肥料に用いられたとされています。クズは利用するものであって、雑草ではありませんでした。

しかし戦後になってそれらの草地にスギやヒノキなどの針葉樹を植林させたため、クズは林地の『有害雑草』と呼ばれるようになりました。

『雑草』は人が生活圏の環境を作り変え維持することによって生まれるのだそうです。人にとって不都合なものは雑草と呼ばれるのだそうです。

そして今現在、放棄された林地にクズがはびこり、あふれ出るように耕作放棄地へ流れ込みます。
それだけにとどまらず、護岸工事や宅地開発などで里山の土が使われることにより、『土の移動』が起こりました。

里山の土に含まれる葛の根や節は、都会に持ち込まれ、河川や鉄道、公園の整備に使われ、数年後に芽吹きます。

クズは逞しく、生命力のある植物。初めはひょろひょろと生えているだけでも、3年もすればその成長のスピードは恐ろしく早く、誰も止めることはできません。

刈り取りを繰り返すことでつるが切られ、切られたことによって個体数が増え、成長スピードも増していくのです。

住宅やソーラーパネル、道路や鉄道を飲みこむ勢いで成長し続けるクズに対し、全てを取り除かなければ誰もクズの勢いを止めることもできなくなるのです。

今、繁殖し続けるクズ対策に、なんと166億円!ものお金が使われているのだそうです。


でも、思い出してください。
昔、クズと人は切っても切れないほどうまく暮らしていたのです。

天極堂ももちろんそうですが、このシンポジウムには静岡県から尾崎葛布の尾崎社長が来られ、貴重なお話を聞かせてくださいました。

20171015尾崎葛布

葛布の歴史は古く、芭蕉布や科布と合わせて三大古代布と呼ばれています。

平安貴族や武士に愛された葛布ですが、明治時代には『グラスファイバー』と呼ばれ、アメリカで壁紙に利用され、盛んに輸出されたそうです。

近年代替繊維の利用が増え、手間のかかる葛布は作る人も減り、産地も減り、静岡県で2社のみが葛布を作っておられるそう。

10kgのツルからはたったの1%しか繊維がとれず、手間も時間もかけないと作り上げることのできない布。それが葛布。


20170105葛布1

掛川市ではそんな葛布を次世代へ伝え、産業を守るだけでなく、クズを様々な方面で利用しようと「掛川市葛利活用委員会」が発足しました。

20170105葛布2

ここでは葛布作り体験、工業品への利用、葛花の利用などを視野に入れ、現在試験栽培もされています。

何が上手くいって、何に改善が必要かなどはまだまだこれからとのこと。私も応援したいと思います。


そして、もちろん天極堂も、葛ソムリエが葛の歴史や作り方など、お話をさせていただきました。

20171015天極堂

シンポジウムの午前中は、クズの利用方法について。

昼休憩をはさんでからは葛の被害報告とその対処法のお話に変わります。

20171015葛湯の試飲

ブレイクタイムで、天極堂から『葛湯』の提供をさせていただきました。

皆さん『クズは敵』という方々ばかりなので、午前中の話にも興味を持ってくださいましたし、初めて飲む葛湯にびっくり。中には葛湯好きの方もいらっしゃいましたが、一様に葛のおいしさ(意外な一面)を発見していただき、持ってきて本当によかったと思いました。

20171015伊藤先生

後半は林地、農地、鉄道、道路、河川、太陽光発電所それぞれにおける葛問題の現状と対策について話がありました。

最後、『クズと葛、地域の新たなシステムづくりについて』というテーマでディスカッションを行いました。

様々な立場の方から発言が相次ぎ、活発な討議が行われましたが、葛布にするクズは①真っ直ぐ素直でなければならない②初夏の当年茎③刈り取るだけではなく茹でや発酵の作業が必要…など条件がありますし、天極堂の葛粉にしても①3年以上山で育った大人の脚1本分はある大きな根っこ…などテーマとなっている農地、鉄道、道路、河川、太陽光発電所では採取できないものであることがわかりました。

まあ、これくらいの討議でこんな大問題が解決できるはずもありませんよね。

「今日が始まりです。」という結びの言葉に、力をもらったような気がします。

初めてのテーマ、初めてのジャンルの方々とご一緒できたことで、クズの新たな一面を見ることができました。

葛ソムリエとしてできることも知識もまだまだですが、「おいしい葛」や「健康と葛」を考え続けながらも「クズから生活を守る方法」や「クズの活用方法」を研究できるよう、アンテナを張り巡らせていたいと思います。

このような機会を与えてくださった掛川市のH様、伊藤先生を始め関係者の皆さま、そして葛ソムリエとしてご参加いただいたK様、ありがとうございました。


16:38 | 吉野本葛の原料「クズ」 | comments (0) | trackbacks (0) | edit | page top↑

2017年9月13日 広島県向原での葛の出前授業

2017年9月13日 広島県向原で葛の出前授業を行ってきました。

20170913冊子

葛ソムリエを呼んでくれたのは「えんがわ創作プロジェクト」
「ひろしまさとやま未来博」の一環で、
参加する人も主催する人も里山の未来を一緒に作ろうという企画です。

自分で発見する楽しさ、
自分で工夫する楽しさ、
仲間と暮らしを作る楽しさ。

そんな、さとやまの楽しさを経験する活動を行っているそうです。

今回は「えんがわ創作プロジェクト」さんが
葛ソムリエから学ぶ葛料理と、その有効利用の現状
ということで、葛料理の基本と、葛という植物についてお話をしてきました。

20170913入口

場所は「カフェギャラリーえんがわ」

20170913玄関

古民家をリフォームした素敵な建物で、
漆のアクセサリーや、染め物、絵画、洋服など様々な手作りの品々が並んでいます。

20170913室内の様子

居心地がよく、ほっとくつろげる店内では、お食事ができ、
マクロビスイーツや天然酵母の食パンのテイクアウトもできるそう。

20170913マクロビケーキ

そうそう、肝心の講義内容ですが、
葛の基礎知識と葛料理の基本というテーマをいただいておりました。

お昼開始のイベントの為、あいさつもそこそこにまずは葛料理。
葛うどん(吉野本葛でお出しにとろみをつけたあんをかけていただきます)と胡麻豆腐。そしてデザートに葛饅頭を作りました。

20170913調理風景

ここでお話したのは、作り立てがおいしいということ。
葛は作り立てが一番。とろーりつややかなあんをかけていただくおうどんは、だしが良く絡んで旨味を余すところなく味わえます。また、胡麻豆腐も作り立てのもちもち感を味わえます。そして葛まんじゅう。やっぱり透明感があって食感もぷりっぷりの方がいいに決まっています。

せっかく貴重な材料、吉野本葛を使うのですから、最高に美味しい状態で召し上がっていただきたい。だから、お家へ持って帰ることはできません。ご家族に食べさせてあげたい時は、ぜひまたお家で作ってください。

みなさん、本当においしそうに食べてくださって、作ってよかったなって思いました。

そして食後は葛のお話。

葛は根も花も葉もつるも、全ての部分を活用することができるすぐれた植物です。でも、葛が利用されなくなり、葛が放置されることでどんどん葛がはびこり、害草のイメージが強いのも事実です。そこで、今日のお話を通して、邪魔者扱いされている葛を少しでも有効活用していただきたいなと思いました。

吉野本葛天極堂 葛の花 咲いてるところ

今は葛の花が満開です。

葛の花は肝機能を高めてくれる薬にもなるんです。薬とまではいきませんが、せっかくいい香りのお花なので、ハーブティーとして召し上がっていただけると嬉しいです。葛の花を摘んだらさっと洗って新聞紙の上に広げて干します。乾燥したら小瓶に乾燥材と共に入れておけば保存しておくこともできます。

吉野本葛天極堂 葛の花 乾燥(3日)

葛の花を少量カップに入れて熱湯を注げば、葛の花の香りがふわっと立ち上り、癒しのひとときに。煎じてないので二日酔いの薬とまではいきませんが、デトックス効果で身体がすっきりしますよ。是非お試しください。

20170913えんがわ

「カフェギャラリーえんがわ」には、その名の通り素敵な「えんがわ」があり、たくさんの手作り小物や古いものが大切に飾られています。

20170913玄関から見た景色

帰りに玄関を開けると、広島の里山の風景が目に飛び込んできました。
昼間はお話しなければならないことで頭が膨れ上がっていて、景色を見る余裕がなかったようです(笑)

向原駅につくと、たった4時間しかいなかったのに、既に懐かしいように感じるから不思議ですね。

20170913駅

今回のイベントは主催者も参加者も、本当に温かみのある方々ばかりでした。

葛粉を使ったお料理だけでなく、葛布にも興味を持っていただくことができました。

葛布は美しく、私たちが忘れてしまった様々なものを思い出させてくれます。

全てを昔に戻すことはできませんが、「さとやま」を大切に思い、暮らし方を見つめなおす機会になるといいなと思いました。

大切な子供たちに何を残してあげるのか、何を伝えてあげるのか、今考えないと、もう後はないのではないか。そんな風にも思いますが、今の生活も大切。あせらず、でもしっかりと考えないと。そんな風に思った一日でした。


主催の田村さん、参加者の皆さん、本当にありがとうございました。
このイベントでお会いできたのも御縁あってのことです。
一緒に食事ができたこと、お話しできたことに感謝しております。
まだまだ発展途上の私の話を聞いてくださってありがとうございました。
不明な点はいつでも、気軽に、ご連絡くださいませ。
全力でお答えさせていただきます!

川本あづみ
14:52 | 吉野本葛の原料「クズ」 | comments (0) | trackbacks (0) | edit | page top↑

巨大な葛の葉、見つけたよ!

2015年6月21日、子供たちと公園へ出かけました。
帰りにとても大きな「葛の葉」を見つけました!

巨大葛の葉

この一枚だけが特別大きいのではなく、
周辺の葛の葉全部がこのレベルです。
生育条件がマッチしているのかな?
それとも、植栽用の肥料を葛が全部吸収しているのかな?
冬に根っこを掘ってみたいなと思いましたが、
公園ですし、勝手にほると怒られますよね…。
12:02 | 吉野本葛の原料「クズ」 | comments (0) | trackbacks (0) | edit | page top↑

天極堂の葛畑

2015年4月末から5月にかけて、
天極堂は本社の裏の畑に「葛」を植えました。

数年前から栽培にチャレンジをしてきましたが、
試行錯誤の連続です。

今年は社員一人一人が自分の苗を育てることになりました。

もちろん、名札もついています。

植え付けから約1か月、
丁度気温も上がり、道路わきの葛はどんどんつるを延ばしていますが、
天極堂の畑の葛はどうなっているでしょうか、、、。

これは、葛まんじゅうや葛餅を中心に担当している足高さんの葛です。

足高の葛

これは、くずの子ロールのケーキ職人、岩崎さんの葛です。
葉っぱが茶色くなっているのが心配です。

岩崎の葛

これは、商品開発をがんばっている品質管理課の吉見さんの葛です。
彼女と同じように元気いっぱい。上へ上へと延びています。

吉見の葛

そしてこれが、去年植えた、2年目の葛。
やっぱり成長が早いです。

去年の葛

去年の葛は、すでに根っこが大きくなっており、去年の夏に貯めた養分を使って伸びていくため、成長の勢いがすごいです。このパワー、このエネルギーを澱粉にしたのが吉野本葛だと思うと、なんだかすごいですよね。

今年は、畑の葛の成長もときどきお伝えしていくので、楽しみにしていてくださいね!
15:31 | 吉野本葛の原料「クズ」 | comments (0) | trackbacks (0) | edit | page top↑

12月の葛城山

2012年12月10日 葛城山は紅葉の上に雪が積もりました。

12月の葛城山

50年ぶりくらい早い時期の積雪となった今年。
ついさっき秋が着たと思っていたのに。
山の紅葉もびっくりしてるでしょうね。
「え?やっと色変ったところやのに?!」なんて。


こちらの写真は天極堂本社工場内の葛。

冬枯れの葛

フェンスに絡まっているのですが、
もう枯れ落ちようというところ。

春に芽吹き

クズの新芽(天極堂本社工場にて)

夏に次々と葉を出して蔓を伸ばし

標識に這い登る葛

今年はいつまでも暑かったので
花の咲く時期は1カ月ほど遅れ、
10月の始めに赤紫の花を咲かせました。

葛の花

花の後には鞘が出来、

葛の鞘

そして枯れようとしています。

もちろん根っこは元気です。

夏の間しっかりとためた養分は
今頃根に送られ
ある葛はそれを来年の成長のために温存しておき、
ある葛は私たちに良質な葛粉を作らせてくれることでしょう。
天極堂では葛の掘り出しと粗葛の製造が本格的に始まろうとしています。

吉野本葛の製造工程は昨年1月作成のブログをご覧ください


天極堂通販サイト「吉野本葛」

09:28 | 吉野本葛の原料「クズ」 | comments (0) | trackbacks (0) | edit | page top↑

2011年冬。新物のクズが届き始めました。

2011年11月4日。
京は今年の新物のクズが初めて届きました。
吉野本葛の製造工程は大きく2工程に分かれています。
葛根を掘り出し、すぐに根を水洗いし、粉砕し、澱粉を冷水でもみだします。
ここでとれた葛澱粉のことを「粗葛(そくず)」と呼んでいます。
泥や灰汁が多いので、まだ茶色です。
これがこの日持ってきていただいた「粗葛」です。

2011sokuzu.jpg

今年は大きな台風も通り、大雨にも見舞われたため、クズの出来が心配でした。
クズは夏場の光合成でためた養分を冬は根に蓄えるので、夏場に雨風にさらされて体力を消耗すると歩留り(1本の葛根から取れる葛粉の割合)が減ってしまうからです。
でも、天極堂の掘り子、中山さんにお伺いしたところ、今のところはいい葛が出来上がっているとのことで、一安心です。
私も触ってみましたが、なめらかでつやがあり、きめの細かいいい葛粉のように感じました。

2011sokuzuappu.jpg

この粗葛の段階ではまだまだ不純物が多いので、これから泥や灰汁を抜いて純白の吉野本葛を得るにはこの後何度も水に晒して精製していかなければなりません。
この精製工程を経たものを「葛粉」または「吉野本葛」と呼びます。
今年初めて入荷したこの粗葛が純白の吉野本葛になるまでには、最終精製を経て、3か月以上自然乾燥させてから。
来年の4月くらいになるでしょうか。

天極堂の吉野本葛「古稀」はこのように掘り子さんや葛の匠によって手間暇をかけて作り上げています。

今年初めての葛の根っこの写真を撮り忘れてしまいました。写真を撮ったら必ず更新させていただきます。それまでは以前に撮った根っこをご覧ください。

葛根

できあがった吉野本葛「古稀」はこのように四角く割れ、固くしまった澱粉です。

自然乾燥の吉野本葛

丁寧に時間をかけて水に溶き、少量の砂糖を加えて透明になるまでしっかりと火を通すことで、なめらかでのど越しの良い、滋養に富んだ葛湯を作ることができます。

葛湯
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吉野本葛の原料「クズ」

吉野本葛の原料となるのは、山野に自生している「クズ」という植物の根っこです。
葛根


「クズ」は豆科の多年生つる草で、秋には紫紅色の花を咲かせます。花は秋の七草にも数えられ、その美しさを愛でられてきました。クズの花は藤によく似ていますが、藤が垂れ下がるのに対して、クズの花は上向きに咲きます。香りも藤と似ており、9月ごろになって花が咲くと、周辺いったいはクズの甘い香りで満ち溢れます。
また、葛の花は「葛花(かっか)」として漢方薬にも用いられており、二日酔いなどに効果があるといわれています。
葛花


クズは日本中どこに行ってもよく見られる植物で、山中はもちろん、高速道路や堤防にも生えています。電柱に絡みついたり、フェンスをはっていたり…。雑木林などでは周辺の木に、絡み付いて上へ上へと伸びていきますが、登るものがない原っぱや堤防などではどこまでも地面をはって広がっていきます。葛のツルはどこまでも伸びていくのです。
葛畑


クズの葉は3つに分かれており、大きい葉は人間の顔より大きくなります。水分の蒸発を防ぐために、気候に合わせて表や裏にと葉を動かして調節をすることができます。
クズの葉の裏が白く、表が青いことからか、裏に表にと返る様子からか、「うらみ葛の葉」と称され、恨みの歌も詠まれたそうです。

  葛の葉の恨みに帰る夢の世を 忘れかたみの野辺の秋風

天極堂通販サイト「吉野本葛」


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